パジャマ姿のシンデレラ
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「私、どうしよっか?」
時計の針はもうすぐ十二時を差す。日付が変わる。帰れる帰れない。ならどうするべきか。
「とりあえず、今日はこので休んで下さい」
今日は何も出来ませんでしたが、明日はちゃんと考えましょう。と立ち上がる。寝床を用意しますと階段を上がろうとする。
「ごめん……きゃっ!」
「なまえさん?」
両手を合わせて謝罪する。と、目の前で合わせていた手が透けて見える。その先にいるジェイの姿もはっきり見える。
「な、なに……これ?私……いやっ!」
「落ち着いて下さい」
急に手が透けてパニクる私の肩に手を置く。泣きそうな顔でジェイを見れば、もう一回落ち着いてと言う。
「まさか、帰れるんじゃ?」
「ほ、本当に!?」
元の世界に帰れるの!?と彼の服を掴む。期待に膨らむ心が、一瞬にして縮んでしまった。だって、帰れるって事は……
「……帰りたくない」
「なまえさん?」
そうだよ。帰りたくない。だから一気に心は冷めてしまう。夢から覚めるかのように。
「だって、帰ったら……またベッドの上だもん」
また一人になっちゃう。白い部屋で、一人になっちゃうよ。そんなの、嫌だよ。
「ここがいいよぅ」
泣きながらジェイにしがみつく。凄く楽しかった。だから帰りたくない。もっとここにいたい。けど私の体は段々と透けてくる。時計の針もあと一分で十二時。
「シンデレラなんて嫌い!」
十二時で魔法が解けちゃう。そんなの嫌。こんな楽しい時間が終わって、薬品臭い白い部屋に戻るのなんて、もう嫌だ。
「もしかしたら、あなたのその願いが叶ったのかも知れないですね」
ジェイの言葉に首を傾げる。意味わかんない。
「自由に動ける体が欲しくて夢の世界に行きたい、とか思ったのが本当になったのかもと思ったんです」
確かに、もうあんな生活は嫌。死ぬならいっそひと思いに死にたい。でも一度でいいから健康な体で走り回ってみたかった。
「また、願ったらここに来れる?」
「確証はないですけどね」
フッと笑うジェイ。綺麗な笑み。やっと見れた、ジェイの笑顔。
「私、絶対にここに来る!また、ジェイに会いに来る!」
殆ど消えかけた体でジェイに抱き付く。すぐに離れて、最後に彼の頬にキスをする。それと同時に私の体は完全に消えて意識もなくなった。
君を、好きになった!
(絶対に絶対に戻るんだから!)