パジャマ姿のシンデレラ
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「御馳走様でした!」
パンッと両手を合わせてお辞儀をする。それを見て、ジェイはお粗末様でしたと食べた食器を片付ける。手伝おうとしたら、一応お客ですから結構ですと丁寧に且つきっぱりと断られた。一日中街を散策していたらいつの間にか夜になっていた。洞窟内だから朝だか昼だか夜だかわからない。
「私、こんなに動いたの初めて」
「そりゃあ、一日中歩き回ればそうでしょう」
洗い物を終えて手を拭きながら戻ってきたジェイは私の言葉に呆れる。街の隅から隅まで歩き回った。洞窟から出てみようとしたら危ないから駄目と言われた。何が危ないのかわからないけど。
「そうじゃないの。私、数えるくらいしか外に出たことないから」
えへへっと後頭部をさする。腰を下ろしたジェイが、凄く間を置いてから、はぁ?と怪訝そうな表情を浮かべる。
「いっつも真っ白い部屋で一人ベッドの上。検査の時しか部屋からでないし」
こういう時、どういう表情をすればいいんだろう。笑ってるつもりなんだけど、口元がなんだか硬く感じる。病気なの、と告げると若干ジェイの表情が曇る。
「だからね、凄く楽しかったの。誰と一緒にいられるのが、楽しかったの」
ずっとずっと一人でベッドでの生活は寂しい。私のために一生懸命に働いてくれる両親には、側にいてなんて言えない。学校にも行ってないから、友達もいない。
「ジェイには友達とかいるの?」
「え、あ……はい。一応……」
この街のみんなは僕の恩人で友達で家族です。と少し控えめな言い方をする。ていうか街の人なんて誰も見てないよとまた問えば、今日はみんな出払ってると、そう言う日なんだと教えてくれた。どういう日かはわからないけど。
「なら毎日楽しいんだろうね」
「……まあ」
楽しいです。とまたまたそっぽを向いてしまう。私、なんか悪いこと聞いたかなぁ。
「ジェイ?」
「いえ、何でもありません」
どうしたの?とまた顔を覗き込む。視線を逸らされてしまう。何だか、それが寂しい、と感じてしまう。胸の辺りが苦しいような、痛いような。何だろ、これ?
「ところで……」
「はい?」
うーん、と首を捻る。次は何だと言わんばかりに視線を戻す。いや、そんな大事なことでもないとは思うんだけど。