パジャマ姿のシンデレラ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ここ、地下なの?」
「洞窟の中ですよ」
大きな洞窟内に街を作ってあるんです。と教えてくれるジェイ。こんな所に街を作っちゃうなんてどんな人たちが住んでるんだろう。ぱっと見人は見あたらないけど。
「よーし!探検だ」
「待って下さい!」
街を散策して回りたくて走りだろうとした私の手をジェイが取る。よろけそうになったけど、それを何とか踏ん張る。意気揚々としているところを止められ、何よぉ~と頬を膨らませれば、ジェイは呆れた顔をして溜息を吐く。その態度にわたしは余計にムカっとする。
「その足で行くんですか?」
私の足下を指さす。何のことだと思えば私は素足だった。寝てたらいつの間にかジェイの家に来ちゃったんだから靴なんて履いてないよね。もう一回溜息を吐いた後、はいどうぞっと靴を一足差し出した。
「少し大きいかも知れませんが我慢して下さい」
ぽんっと床に置かれた靴を履く。確かにちょっと大きいけど簡単に脱げることはない。
「ありがとう」
素直にお礼を言えばジェイは、怪我されても困りますし、とそっぽを向く。その気持ちが嬉しくてもう一回、ありがとうを伝える。
「すごーい!本当に洞窟だ!」
借りた靴を履いて走り出す。大きな声を上げると反響する。走り回る私の後をジェイはポケットに手を突っ込んだままついて来る。私は走っていて、向こうはゆっくり歩いてるみたいなのに、気付くと十歩くらい後ろにいる。
「さして何もないところなのによくハシャげますね?」
「だって初めてなんだもん」
何もかもが新鮮で楽しい。誰もいない街を走り回るなんて初めて。素直な感想を述べると、なぜかジェイは頬を赤くしてまたそっぽを向く。
「何で笑わないのー?」
「必要がないですから」
そう言えば見たことないなぁと彼の顔を覗き込む。ずっと不機嫌そうな顔してる。
「笑った方がいいのに」
「あなたには関係ありません」
きっぱりハッキリ言われると無理は言えない。うーん、私とじゃ楽しくないのかな。初対面で仲良くは出来ないのか。いきなり押し掛けた奴とは無理ってことなのか。ちょっと寂しいな。
「……好きなときに笑えるのにな」
ボソッと呟くと、ジェイが何か言いましたか?と振り向いたけど、私は何でもないとと首を振る。さっきまであまりにも楽しかったから、その感覚というものを忘れてた。