そんな君の笑顔が見たい
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「わかって下さればいいです……すみません」
「なんでジェイが謝るの?」
悪いのは私なのに、と彼女は続ける。僕が洩らした謝罪の言葉に首を傾げる。説教した方が謝ればそう思うのは必然かもしれない。
「いえ、少し……言い過ぎました」
「ジェイは何も間違ってないよ?私がふざけすぎたんだもん」
怒るのはわかっていた、と言うことなのか。もっとしっかりと怒っておくべきだった。苦無の一つ二つくらいお見舞いしてもよかったかも。
「貸して下さい」
なまえさんの手からリボンを取り上げる。へっ?と間抜けな声を上げる。仮にも女性なのですからもう少し可愛らしく出来ないのですかね。
「ジェイ?」
僕は彼女の後ろに回る。何をするのだと言う風に肩越しに振り返るなまえさんに前を向いて下さいと言えば、うんと返事をして大人しく前を向く。下ろしたままの僕と同じ黒い髪にそっと触れるとなまえさんは肩を少し震わせる。何をされるのか不安だと言うところだろう。
「動かないで下さいね」
リボンを口に挟み、空いた両手で彼女の髪を軽く梳き左側へと束ねる。左手でその束を掴んで、右手でリボンを二回巻いて形が崩れないように結ぶ。結われた髪を前へと垂らし、僕も前へと回る。
「じ、ジェイ?これ……」
「やっぱりあなたのほうが似合いますよ」
自分でも不思議なくらい自然に笑みを浮かべると何故かなまえさんは顔を赤くする。え、あ、へっ?ええーっ!?なんて手をブンブンと振りながら訳のわからない声を上げる。おかしな人だ。本当におかしな人だ。
「行きますよ」
「はい?えっ……何処へ?」
未だ赤い顔でパニックになっているなまえさんに手を差し出すと僕の手と顔を交互に見て瞬きをする。
「クロエさんの所ですよ。謝るんでしょ?不本意ですが僕も一緒に行ってあげますよ」
そう言うと、あっと声を上げる。全く、さっきの会話をもう忘れてるんですか。モのつく誰かさんみたいですよ、とは言いたくなった。
「ジェイ、ありがとね」
「そう思うならもうこんな事しないで下さいね」
僕の手を握って笑うなまえさん。彼女は笑顔の方が似合う。泣かせたのは僕だけど、あれは当然の報いだ。でも胸が痛んだ。何故か、痛んでなまえさんには笑って欲しいと思って思わずあんな行動に出た。
「ああ、そうか」
ふと思い浮かぶものに納得。急に声を上げたから、どうしたの?と訊ねる彼女になんでもないと首を振る。
あなたの笑顔が見ていたいんだ
(泣かせるのは僕。笑顔にさせるのも僕)