そんな君の笑顔が見たい
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「せっかくクロエと選んだのにぃ」
「はぁ?クロエさんも巻き込んだのですか?」
リボンを拾い、ぶーっと頬を膨らませるなまえさんに呆れた。一人で勝手に買ったのならともかく、クロエさんまで。一体僕をなんだと思っているのでしょう。仮にも不可視のジェイと呼ばれる僕が、彼らと行動するようになってからその威厳も落ちた気がする。それ以前に男の僕にリボンを贈ろうなんて事自体がおかしいですけどね。
「……まったく、二人して僕をからかって何が楽しいんですか?」
「ん?ああ、クロエには言ってないよ。リボンはジェイにあげるって」
僕としたことが思わず呆気に取られてしまった。よく考えればそうなんでしょうけど。クロエさんは僕が嫌がると知っていて人の嫌がることを手伝うことはしない人だ。
「ならあなたは最低ですね」
ほぼ身長の変わらない彼女を睨みつける。僕の言った意味がわからないのか、それとも最低と言われてショックを受けているのか目を見開く。自分でもわかるくらい眉を寄せ、奥歯もギリっと噛みしめる。
「……ジェイ?」
両方みたいですね。わからないしショックも受けている。こんな人が一緒に戦った仲間だったなんて。僕の人を見る目はまだまだみたいだったようだ。
「あなたはクロエさんの好意を踏みにじったんですよ」
そのリボンはあなたに似合うと思って選んでくれたんじゃないんですか?とワザと刺々しく言い放てば、やっと気付いたらしくハッと俯きかけた顔を上げた。
「甚だいい迷惑ですね」
僕もクロエさんも。言い過ぎかもしれない、とは思わない。言うことは言わないと伝わらない。言っても伝わらない人を二人ほど知っていますが、そこは放置しよう。
「……ごめん」
普段の明るい彼女の姿はなく泣きそうに顔を歪め聞き取れるくらいの小さな声で言った。なんで僕の方が罪悪感を持たなくてはいけないんだと思うくらい、ズキっと胸が痛んだ。
「謝るならクロエさんに。全く知らないままと言うわけにはいかないでしょう?」
「……うん」
少し間を空けて返事をする。なまえさんの瞳からは涙が一滴零れ落ちる。更に胸の痛みが走った。なぜ僕は……こんなに辛いと思うんだ?