そんな君の笑顔が見たい
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只でさえ彼らと出会ってから忙しない日々を送っているというのに、彼女はよく僕に会いに来る。最初は鬱陶しかったのに……いや、今も現在進行形だけど……でもいつの間にかそこに目を向けていた。
「ジェーイ!」
今日も依頼を終えてようやく家へと辿り着きゆっくりしようとした最中、彼女はやってきた。僕の都合などお構いなしに。今日に限っては仕事が終わると同時とはツイてない。
「……なんですか?僕は疲れてるいるのですが」
少々不機嫌気味に返事をする。依頼内容が内容だっただけに疲労が大きい。水の民との和解も成立したとは言え、今度は遺跡船の外から人が出入りするようになった。前から出入りはあったとけど今は観光客などが絶えない。そのため問題も多い。街の外に繰り出し貴重な遺跡を荒らす輩もいるためその調査を頼まれた……すごい剣幕のウィルさんに。正確はレクサリアのミュゼット聖皇からですが。あからさまな溜息を吐いてみるけど彼女はそんなことで怯まない。
「これ、ジェイに似合うと思って買ったの」
満面の笑みでなまえさんが僕の前に差し出したのは水色と淡い紫のリボンだった。この人は何を思って僕にこのリボンを買ってきたのだろう。知っていてやっているという事だけはわかるけど。
「……なまえさん。僕は男ですよ?リボンなんて付けませんし付けたくもありません」
「だって似合うと思ったんだもん」
女顔なのを言われるのが一番嫌いとわかっていて彼女は言っているのだろうか。何にしてもそのリボンはいりません、ときっぱりお断りする。
「ね、ね、一回でいいから……」
「付けません。大体なんですか?人が嫌がっているのに何度も。はっきり言って迷惑です」
イライラを募らせた僕はリボンを更に僕の方へ突き出す彼女の手を払いそう言った。なまえさんの手の中からリボンが地面へと落ちたのを見てやり過ぎたかと少し後悔し胸も痛んだ。でもこうでもしないときっと諦めない。そう言う人だ。
「わかったなら、帰って下さい」
多少なりとも罪悪感はある。だからなまえさんの顔を面と向かって見れない。そっぽを向いたまま僕はそう告げた。いつもより厳しめに言ったから素直に帰ってくれるものだと勝手に思った。未だにチクリチクリと胸を痛めながら。