君と一緒に歩くこのひと時
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「上手くいったね」
「ええ。あなたの言ったとおりになりましたよ」
無理やり連れ戻そうとしても抵抗されるだけだから少し自由に泳がせて、ある程度したら紫鶴が誘い出し、ジェイドがいるところまで誘導する。それが今回脱走したピオニーを捕まえる作戦だった。上から抑えつけてもピオニーの性格上、駄目と言われたらそうしたくなる心理を逆手にとって満足したところで一気に奈落へと落としてしまえで紫鶴とジェイドの中で考えが一致したのだ。
「いや~こちらの思惑通りに行ってくれて助かります」
「途中で笑いそうになっちゃったよ」
二人の会話にピオニーは両手両膝を着く。あの楽しい一時は何だったのかと。本当に楽しかったからこそこの仕打ちはショックで仕方ない。
「純情な少年の心を踏みにじりやがって……」
「汚れた中年の間違いでしょう?」
くそっ、と舌打ちするピオニーにジェイドは無慈悲に返す。「不敬罪だ!」と指さし叫ぶピオニー。ジェイドは「あははは」とわざとらしく笑う。
「はいはい、さっさと宮殿に帰るよ」
しゃがみ込んだままのピオニーを立たせる。
先程のように手を引いて歩きだし、宮殿へと向かう。束の間の夢ももうお終い。観念し溜息を吐くピオニーに紫鶴が振り返る。
「また来ようね」
いつもと違う髪型。いつもと違う笑みに顔を赤くする。いつからこんな笑い方をするようになった?
「(マジでヤバいかもな)」
前を歩く紫鶴を見て一人思う。
君と一緒に歩いたこのひと時を忘れない。この日君に抱いたこの想いは消せない。また共に横に並んで歩ける日が来るのを切に願う……