君と一緒に歩くこのひと時
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「見つかって怒られたら私の分もジェイドとアスランに怒られてよね」
はぁと少しわざとらしく大きな溜息を吐く紫鶴。が、目の前の人物はそれをさも気にせず満面の笑みを浮かべて振り返る。
「いいじゃねぇか。たまには息抜きしないと俺が死ぬ」
「じゃあ、いっそ死んで」
両手を腰に当てて、ふん反り返るピオニーに紫鶴は間髪入れずにそう返した。すればピオニーは「ひでぇ!」と声を上げる。
「ジェイドの野郎、紫鶴になんて事教えるんだ」
「元々なんだけど…」
ここにはいない紫鶴の後見人でピオニーの幼なじみであるジェイドにブツブツと文句を言う。
「てか早く戻って仕事してよ」
二人がいるのはグランコクマの街の中。ピオニーのワガママでここにいるのだが、滅多に街に出ることのないピオニーはあっちへふらふら、こっちにふらふらするものだからついて行く紫鶴の方が大変だ。
「極上の笑顔で迎え入れられるよ……ジェイドとアスランに」
一人先に歩きだそうとするピオニーの背にそう言えば、ピタッと足を止めた。眉を寄せて首だけ振り返る。あの二人が紫鶴を連れ出して仕事をサボって街を遊び回っていたと知ればそれはもう何時間かかるかも分からない説教と大量の仕事が待っているだろう。
「……いや、いい」
何か言おうと思ったのか少し口を開けた後、視線を逸らし小さく首を振りそのまま前を向いて歩き出した。
「……あとちょっとだからね」
これ以上は言うだけ無駄だと判断した紫鶴は仕方ないと歩き出す。無理やり連れ戻すことは紫鶴にとってはいとも簡単なこと。でもここの所、仕事が忙しくて自分自身も街に繰り出していないから、皇帝のワガママにもう少しだけ付き合うことにしたのだ。