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「ねぇ、ジェイド」
執務机にうつ伏せ、手の中のペンをクルクルと回わしながら少し離れた執務机でペンを走らせるジェイドに声を掛ける紫鶴。
「…何ですか?」
ペンは止めず視線をチラリと紫鶴に向ける。職務中だというのにファーストーネームを呼び捨てたことを咎めようかとも思ったが、今この執務室には二人きりだから目を瞑ることにした。プライベートと二人きりのときは呼び捨てでいいと言ったのは自分…ならいいかと自己完結する。
「アスランとピオニーって過保護すぎない?」
うつ伏せていた上半身を起こし、回していたペンは机の上に置く。「私もうすぐ18だよ?」と溜め息混じりにそう言う。
「それだけあなたのことが可愛いのでしょう」
「でもちょっとウザい」
ジェイドもペンを置き紫鶴のほうへ顔を向け、微笑む。紫鶴は頬杖をついて話のネタになっている二人のことを思い浮かべる。
「そんなこと言うと二人が泣きますよ?」
とか言いながらも「まぁ確かにそう思いますが」と笑う。笑い事じゃない!と怒る紫鶴だが、二人がそうなったのには思い当たる節がある。
約一年前のエンゲーブでの盗賊団の討伐の際の出来事以来、紫鶴に対しての扱いが少々変わった。もともと紫鶴のことを気にかけてくれていた方だがあの事件以来はそれが増したのだ。
「任務でここを離れて戻ってくるたびに『怪我はないか?』とか『何かされなかったか?』訊かれて… 子供じゃあるまいし」
いちいちそれに答えるのが面倒くさいと。 再び、溜め息を吐けば「幸せが逃げますよぅ」とジェイドが楽しそうに言う。
「幸せ…まぁ心配してくれるのは嬉しいけど、ねぇ…」
「まぁ、少々度が過ぎるかもしれませんがね」
心配をしてくれる人がいることは凄く幸せな事だ…でも任務で出かける際に『忘れ物はないか』はまだいい…『やっぱり自分も行く!』とか言うのはやりすぎだ。
「…少しうるさいお兄ちゃんが出来たと思って目を瞑るか」
お茶でも入れると紫鶴が立ち上がると同時に部屋の二カ所からバンッと大きな音が響く。
紫鶴とジェイドは特に驚くことなく隠し扉のある方と部屋の扉の方をそれぞれ黙って目を向ける。二人が驚かないのはもう慣れたから。ほぼ日常茶飯事になっているから。
「紫鶴、旨い菓子があるぞ。食うか?」
「紫鶴、いい茶葉が入ったよ。一緒に飲まないかい?」