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*ある午後の出来事*
「……ねぇ、紫季」
目の前の光景にアニスが顔を引きつらせる。アニスだけではなく同じ部屋にいるルークたちも不可解なものを見る目で見ている。名を呼ばれた当の本人はベッドの枕元に腰を下ろし壁に寄りかかりながら本を読んでいた。
「……なんだよ」
少し間を空けてから不機嫌そうに顔を上げて返事をする。
「あのさ、それはぁ……」
彼女の視線の先は彼の膝。もっとはっきりというならば膝の上の物体。そこにあったのは……いや、いたのは彼の姉である紫鶴であり、彼女は弟である紫季の膝の上で気持ちよさそうに眠っていた。
「どうして紫鶴が紫季の膝の上で寝てますの?」
「……聞きにくいことをあっさり聞くよね、ナタリアって」
声をかけたのはいいがはっきりと尋ねることが出来ずにいれば、代わりにとでもいうようにナタリアが口を開く。コイツのこういうところが怖いんだよな、と呟くのはルーク。
「構え構えうるさいから放って置いたら勝手に寝たんだよ」
再び本に視線を戻し、面倒くさそうに質問に答える。その姿が容易に想像できたのか、ああと納得する面々。
「だから大佐の機嫌が悪かったのか」
「珍しく見てわかるくらい悪かったな」
「……怖くて声かけられなかったぞ」
この部屋から出てきたジェイドの様子を思い出しそう話す。思い出しただけでも怖いとルークが両腕を擦る。
「いつから寝てるの?」
「知んねえ。一時間は経ってんだろ」
お前らが買い出しに行ってからそう時間が経たないうちからだからと、本から視線を上げることなく紫季は答える。今回の買い出しは食料がアニスとティア。消耗品などの道具はルークとガイとナタリアの三人。紫鶴と紫季とジェイドは留守番だった。
「てか足痛くないの?」
「いてぇよ」
頭なんか乗せられて痛くないわけがないとアニスを睨む。私に当たんないでよ!と怒鳴るがそれには無視をする。
「痛いなら頭を下ろせばいいだろ?」
何気ないルークの言葉にバツが悪そうに顔を背ける紫季。そのまま返事をせずにいると、その理由にピンと来たのかアニスとガイの顔つきが変わる。にたりと笑うアニスと微笑ましそうに笑うガイに紫季は舌打ちをした。
「きゃわ~ん。紫季ったら素直じゃなーい」
「ツンデレってやつか」
二人の言葉を聞いて紫季は読みかけの本で顔の半分を覆う。面白くなさそうにするジェイドを見るのは楽しかったが、自身の真意を読まれたのは誤算だった。