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*幸せな悩み?*
「はぁ……」
「紫鶴、なーに溜息なんて吐いてるのぅ?」
場所はグランコクマの宿の一室。盛大な溜息を吐く紫鶴に幸せが逃げちゃうよぅ、とアニスが両手を腰に当てて言う。
「溜息くらい吐きたくもなるよ。だって……」
「紫鶴!ここにいたのかい!」
自嘲にも似た笑みを浮かべながらドカッと乱暴にソファーの背もたれに寄りかかり足を組む。その理由を答えようとすればノックなしに扉が開き誰かが入ってくる。
「げ、アスラン」
「今日は仕事でこっちにいるって聞いたから軍事基地に行ったのに入れ違いなのかいないから探したよ」
入ってきたのは爽やか全開の笑顔を浮かべたアスラン・フリングス少将。その顔を見るや否や全力で顔を歪める紫鶴。
「だから逃げてきたのに……」
「……ああ」
ぼそりとアニスにだけ聞こえる声で言えばそれに納得するアニス。彼の紫鶴に対しての扱いを知っているからこそ同情もすれば自身も同じ境遇を想像して悪寒が走ると言うもの。そんな事は露知らずのアスラン。
「で、何のよ……」
「何だ、ここにいたのか」
今のアスランに何を言っても無駄だろうと感じた紫鶴はとりあえず用件だけ聞いて追い出そうとすると再び吐きかけた言葉をもう一人の人物に遮られる。
「マジで勘弁して」
「モテる女はツラいね」
アスランに続いて現れたのは当然と言うべきなのか、この国の皇帝であるピオニー。どちらも職務の時間だというのにふらふらと商業区にまで出向いて何の用だと言うのだなんて頭を痛くする紫鶴。改めて何用だと訊ねれば、
「久々にこっちに戻ったっと聞いたから」
二人して声を揃えてそう告げる。それに紫鶴は返す言葉もなく痛む頭を抱えるだけだった。
「自分たちの立場忘れてない?」
「モテるのはいいけどここまでいくと引くわ」
二人……いやジェイドを含む三人が紫鶴を溺愛しているのは周知のこと。だが己の立場を忘れ職務を放棄してまで彼女の元に来るとなるとさすがについて行けない。
「仕事は?」
時間から言えば忙しい時間帯。なのに二人揃ってサボってここに来ているのを見て睨み付ける。
「気にすんな」
「陛下はお戻り下さい。僕は次の仕事までまだ時間があるんだ」
だから大丈夫。と睨み付けられたことなど気にしていないと言わんばかり笑みを浮かべる二人。
「ぬわっ!何で陛下とフリングス少将がいるんだ!?」
「ルーク、みんな」
買い出しに出ていたルークらが戻ってきたらしく、まさかの珍客に驚く。紫鶴の表情を見てか納得したようにいつものアレかと頷く。
「ああ、もう!顔見たいだけなら後で行くから帰って!」
「せっかく来たんだからいいだろ」
「美味しいお菓子を見つけたんだ。一緒に食べないかい?」
扉の方を指差して帰れと言っても聞き入れる気が全くない二人にガクッと肩を落とす。紫鶴の事となると周りの迷惑を考えないピオニーとアスランにルークたちもどうしたものかと顔を見合わせる。
「こうなったら!ジェイド召喚!」
「って……それで来たら苦労なんてしないよぅ!」
「呼びましたか?」
怒りの余りにおかしくなったかと思われた紫鶴の発言にそれはないとツッコミを入れるアニス。が扉の方からの声を全員が振り返る。