00 始まりの兆し
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「わっ!」
「うわぁっ!!」
ぼーっと考え事をしながら歩いていると、前方から走ってきた少年に気がつかず、どんっとぶつかってしまった。
「大丈夫?ごめんね」
「ううん、大丈夫だよ」
体格の差で尻餅をついてしまった少年に手を貸して立たせてやる。紫鶴が謝罪をすると少年は元気良く返事を返して、バイバイと言ってまた走り出した。
元気な少年の姿に紫鶴は笑みを浮かべて手を振ってやると少年も振り返してきた。前方から車が一台走ってくるのが見えた。
「―っ!」
車の運転手は眠っている…この事に気づいているのは紫鶴だけ。紫鶴のほうに振り返りながら手を振っている少年はもちろん、道端を歩く人らも気付いていなかった。
「危ないっ!!」
バッグと刀袋は肩に掛けたまま少年に向かって走り出す。すごい剣幕で自分へと走ってくる紫鶴に驚いた少年は、手を振るのを止めて目を見開いている。周りを歩く人らも「なんだ?」と怪訝な表情で紫鶴を見る。そんなことはお構い無しに紫鶴は走る。あと数メートルで少年と車が衝突する。
「きゃー!!」
周りもようやく気付いたのか、車が少年にぶつかりそうになるのを見て悲鳴をあげる。紫鶴は少年が惹かれる寸前で少年にタックルをする。タックルされた少年は吹き飛び転がった。が、少年にタックルをした紫鶴は少年と入れ替わってしまった為、眼前まで車は迫っていた。
「(間に合わない!)」
タックルをしたことで体勢を崩した紫鶴はそのまま車に轢かれた。