28 見つけらねれば己が示せ
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「俺たちは金持ちからしか通行料はとらねぇでがスよ」
金持ちからしかって、ここで払う人間なんてたかがしれてる気もするけど。
「いいじゃないですか。彼らは金を取るべき相手は間違っている哀れな義賊なんです。さっさと払って通り過ぎましょう」
「ジェイド!?」
「……なんだって」
お金を払うって、結構な大金だよね。ジェイドから言うなんて思わなくて声を上げちゃったけど。ガイに続いてジェイドまでもだからノワールの表情が段々険しくなっていく。
「おや、違いましたか?私たちは戦争を止めるために国境を越えたいだけです。私たちを通してしまっては、商売あがったりというところでしょう」
ニヤリと、口角を上げて言うジェイド。こういうのを見るとさすがはジェイドって言いたいや。いや、こういう風なことを言わせると右に出る人はいないね。
「……挑発に載せられてやるよ。ここを通してやる。その代わり、このことは誰にも言うんじゃないよ」
ノワールがそう言うと、扉を封鎖していた男性は横へ届いた。通られてもらえるならと私たちも頷き、国境の向こう側へと通り抜ける。
「何とか通り抜けられたね」
「こんな所でよけいな時間を食うわけにもいきません」
たった数十分くらいなのに酒場から出ると外の光が眩しく感じる。少ししぱしぱする目を手でこする。
「これも戦争のせいなんだね」
「実感しましたか?」
私が生まれ育った場所では戦争はなかった。他の国に行けばないわけじゃない。それでもこんな厳重警戒な態勢を見たことはもちろんない。
「実感した」
目で見なければわからないことを。確かに戦線を抜けてきたんだけど、それでもまだ何か違くて。前に神託の盾兵とやりあったのとそう大差ない感覚だったけど、国境できっちりと分けてしまう姿を見ると嫌でも実感してしまう。