27 進むべき道は何処か?
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「いいんです。もちろん私も死ぬつもりはありませんけれど。ただ、私は主人も子供も亡くしてしまいましたから」
「戦争のせいですか」
ケセドニアへと避難を開始する前に巻き込まれたのかと思ったけど、そうではないらしく二人は首を振った。
「こちらの旦那さんは、アクゼリュスの鉱山で働いてたんだ」
丁度、息子が主人に会いに来ていたとミリアムさんが続ける。その時にアクゼリュスの崩落が起きた。生き残ったのは私たちとあの子だけ。子供……生き残った子供。
「あのー、差し支えなければ二人の名前聞いてもいいですか?」
恐る恐る手を挙げてそれを問う。私が口を開くと全員が一斉にこっちを向く。
「……主人の名はパイロープ。息子はジョンです」
やっぱり。小さく息を吐く私とは逆に、ジェイドたちは息を飲んだ。質問の意味を理解したんだと思う。女の勘、と言うのは当てにならないと思ってたけど侮っちゃいけないかも。
「それが何か?」
ミリアムさんと男性にはわからず二人は顔を見合わせて怪訝な表情をする。まあ意味がわからなくても仕方ないけど。
「旦那さんは残念です……でもジョン君は、今はグランコクマにいます」
目の前で助けられる命があった。ただそれだけだったのに、こんな事が起きるなんて。
「……ほ、本当ですか?」
「彼女が助けたのですから間違いないですよ」
口元を押さえて、驚きを隠せないでいるミリアムさん。ジェイドが後ろから私の方に手を置き、そう言うとミリアムさんは涙を流してありがとう、と言ってくれた。
「軍人として当たり前のことをしただけです」
まあ怒られたけど。それでも何もしないよりはいい。自分の罪が軽くなる訳じゃない。でも、生きている子供が泥の海に沈んで行くのをただ見てるだけなんてできなかった。