26 背けられぬ真実
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「疑問が疑問を呼んじゃったね」
ただ紫季が来たときのことを知りたかっただけなんだけど。この疑問をずっと一人で抱えてたんだね。
「その内、嫌でも知るだろ……たぶんな」
また窓の外を向き、泥の海を睨みつけるように目を細めた。二人で感じた悪い予感は口にしない。それが本当になったらと少しでも思ってしまうと、怖い。紫季も不安なんだ。
「ともかく、今は外殻に戻ろう」
「そうだな」
みんなもこれ以上話してもわかることじゃないと思ってか、話を打ち切ってエンゲーブへ向かおうと。
「あなたたちはまだ何か隠してますね?」
「――っ!?」
背後から気配なく近寄って、私と紫季の顔の間に割り込んで耳元でそう言ったのはジェイド。
「お、驚かさないでよ!」
「……んだよ」
大きな声を出して下手にツッコまれるのもヤだから飽く迄も小声で。紫季も舌打ちして表情を険しくする。
「まあ、今は聞かないでおいてあげますよ」
ポンッと私と紫季の肩を叩いて座席に着く。ジェイドのああ言うところが怖くて嫌い。でも、ちゃんと個人の意志を尊重してくれるから文句は言えないけど。
「何であんな鋭いんだか」
「……無理やり聞かれなかっただけでもマシだろ」
若干頭痛を覚えたのは気のせいだと言い聞かせよう。確かに聞かれても口にしづらい事だから、たぶん何も言えないだろうし。今は、私たちのことよりもエンゲーブだ。
やっと、やっとちゃんと話すことが出来た。許してもらえた訳じゃない。許して欲しかった訳じゃない。でも、知ってもらいたかった。こんな風に話せるようになっただけで十分。まだ気を抜くわけにはいかないけど、今この時間がすごく安心する。ジェイドたちとは別の意味で。肉親だから、弟だからかな。嬉しくて泣きそうになったのは、心の内に秘めておこう。