26 背けられぬ真実
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「……紫鶴」
「何言ってんだ……」
何かさぁ、凄く呆れた顔されてる。二人揃って。私変なこと言ったっけ?にしても何だかムカつくんだけど。
「何よ!二人して!」
段々哀れむように視線を逸らし溜息を吐いた。いくら温厚な私でも怒るっての。いつからこの二人そんなに息が合うようになったんだか。
「どうしてそんな話になんだよ」
「え?だって、私は帰るつもりなんてないから、実家を次ぐ人がいなきゃいけないじゃん」
頭に手を当てる紫季に、逆に何言ってんの?と腰に手を当てて返してやる。私にはあの家を継ぐ資格はないし、ここで守りたいものもある。
「あなたのお姉さんは思ったより馬鹿だったようです」
「そうみたいだな」
「ちょっと!何なのよさっきから!?いつの間にそんなに仲良くなったの?」
怖い。怖いよ。いや、息の合うような雰囲気があったけど、さ。その意味がわからなすぎて気持ち悪い。
「言っとくが、俺は元の世界に戻るつもりはないぜ」
何を今更なことを言ってるんだよ。ってまた溜息を吐かれた。え、今日は私、苛められる日?
「俺にだって思うところはあんだよ」
呆れ顔なのに、少しだけ笑って見える紫季。
「それに……もういい」
「何が?」
腕を胸の前で組んでそう言ったけど、意味がわかんない。アバウトすぎてさすがのジェイドもわかんないみたいで首を傾げる。
「……父さんや、母さんの事とそれ以外だ」
確かに何で俺だけとか葬式にも行けないんだって恨んだ。憎まずはいられなかった。けどそれももういい。ちゃんと知ったからと、凄く、凄く優しい笑顔を向けてくれた。
「うわーん!紫季大好きだーっ!」
「うわぁ!?は、離れろ!死霊使い、助けろ!」
「はははっ。いいじゃないですか」
抱きつく私を本気で引き剥がそうとはしない。嬉しくて嬉しくてちよっとだけ、涙が流れた。