04 触れなくても消えぬ傷
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さすがに短期解決とはいかなかったけど、エンゲーブに長期滞在は避けたい。只でさえ被害が多大でそう遠くないうちに他の街への流通も難しくなってしまうというのに、いつまでも私たちが滞在していては私たちの食料も尽きてしまう。
「さて、どうしましょうか」
「このままですと、エンゲーブが…」
姿を現す気配すら見せない盗賊団。縄張りを変えたのかもしれない。でも私らが陣営を解体してここを去ったと同時にまた襲いだすかもしれない。だから帰るわけにもいかない。
「…囮は?」
ぼそっと私が呟く。私の声にピオニー、ジェイド、アスランの三人がこちらに顔を向ける。
「紫鶴?」
「囮作戦は、ダメ?」
口元に手を置いて、机を挟んで向かいに立つジェイドとアスランを見る。『囮』と言う言葉に反応してかいい顔はしない。
「囮ったて、どうやって?」
私の隣に立つピオニーが私を見下ろす。
「一度撤退して囮だけ残すの。荷馬車を村から出して襲ってきた盗賊団を囲む」
「…あまり賛同はしたくはありませんが」
口元に片手を当てたまま、もう片方の手でテーブルに置かれた地図を指す。私の提案に三人とも眉根を顰めたがこれ以上はエンゲーブに滞在できない以上は仕方ないといった感じで渋々頷く。
「あとは囮ですが…誰が」
「それは私がやる。言い出しっぺだから」
作戦をまとめた所でその役を誰がやるかとアスランがジェイドを見た。ジェイドが何かを言う前に私が手を上げて立候補する。
「駄目だ」
即座に否定したのはピオニー。それにはジェイドとアスランも反対なのか頷く。
「村の人にはさせられないし、下手に軍の人間がやるとたぶんその警戒心からか賊に感づかれる恐れがある。同じ軍人でも私はこの部隊唯一の"女"だから向こうも油断するはず」
私はこれでも葛城紫幻流の師範代だよって付け加えた。