25 希望は常に
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「……話はあいわかった。しかし亡くなられた筈のナタリア様が生きておいでとは。しかもマルクトの住民を助けるために動いておられる……」
眉毛の長いおじいさんはイエモンさんって言うらしい。街の入り口近くにある集会所に行くと三人はいて、あっさりと私たちの話を聞いてくれた。事情が事情なだけに表情は険しい。敵国の住民を助けるのかと聞こえてたのかルークが、マルクトとかキムラスカとか今はどうでもいいと叫ぶ。
「そうさねぇ。ただこっちも困ってるんですよ。アルビオール初号機が、メジオラ高原の崖に墜落してしまって……」
「中に操縦士が閉じこめられた状態でメジオラ突風が吹いての」
今にも崖から落ちそうだから救助隊を派遣したくても戦争が始まるから軍人は出払っていると。助けたくても助けにいけない状況。こっちもあっちも状況が切羽詰まってる。
「どっちもどっちだね」
「……紫鶴」
思わず溜息を吐けばジェイドに軽く小突かれる。そんな事言ってる場合じゃないね。
「だったら俺が行くっ!」
「よく言いましたわ、ルーク!それでこそ王家の蒼き血が流れるものですわ!」
拳をグッと握りしめ真っ直ぐイエモンさんを見つめ自分が行くと言ったルークにナタリアが目を輝かせる。けどルークは関係ないと、王家とか関係ないと顔を赤くしながら否定する。少し目を伏せナタリアへと振り返る。
「ただ俺は……できることをやらなきゃって。だいたい人を助けるのによ、王家とか貴族とか、そんなん、どうでもいいかなっ……とか」
照れてるのか視線をあちらこちらへと動かす。彼の言葉に私たちは顔を合わせ自然と笑みが零れる。ジェイドは眼鏡に手を当てて隠してるけど口元に小さく笑みが見える。まったく素直じゃないんだから。
「いいんじゃない?」
理由なんてなんだっていい。人助けに理由はいらない。それがわかっただけでもかなりの成長だもん。