04 触れなくても消えぬ傷
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「…バレたか」
「バレたか、じゃないですよ。何しているんです?」
ゆっくりと振り返り被っていたメットを外す。わざわざ、一般兵の軍服を用意して潜り込むなんて、しかも一国の皇帝が首都から離れるなんて…普段の宮殿からの脱走より質が悪い。
「とりあえず言い訳は後で聞きます。まずはカーティス大佐とフリングス少将に報告しますので付いてきてくださいね」
「ま、待てっ」
ジェイド達がいるテントのほうに足を向ければピオニーが私の肩を掴んで止めようとするが、私は腰の刀の手を置いて「陛下?」と目を細めれば「…はい」と小声で返事をして肩から手を放した。
「で、陛下は何故ここに?」
怖いくらい満面な笑みを浮かべて胸の前で腕を組むジェイドとアスラン。皇帝であるピオニーが一番小さく見えるのはきっと気のせいではないはず…自業自得なんだから諦めて説教をしていただきましょう。
「いや、な。何だ…その」
ちらりと私のほうを見た。私は何でこっちを見たか分からないけど、ジェイドとアスランは互いの顔を見合わせて溜息をついた。
「来てしまったものは仕方ありません。ですが、陛下はこの陣営から絶対に出ないで下さい。それとグランコクマに戻ったら覚悟して置いてくださいね?」
「当分は外に出ることはおろか、当然ブウサギたちと遊ぶことも禁じます」
眼鏡の位置を直しながら言うジェイドと何か背中からオーラを出しているアスランの方が偉そうに見える。ピオニーは顔色を青くしながら「…あ、ああ」と返事をして、既に戻ったときのことを想像してか引きつった笑みを浮かべた。ジェイドはともかくアスランもあんな黒い部分があったなんて…何かジェイドっぽいところもありそうな気はしたけど。それはそれで面白いからいいか。
ピオニーのことはさて置き、村の近くに陣を張っているせいか、なかなか盗賊団は姿を現さなかった。