24 偽りなく君の手を取る
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「紫季!もうちょっと待っててね!」
あまり前に乗り出すと危ないから、向こうから顔が見れる程度の所に立って覗き込む。すると怪我した人がいたのかその人に治療を施していた。
「あれ?紫季……第七譜術士なの?」
慌てる状況なのを忘れさせるそれに思わず口に出してしまった。だって思いっきり気になるし。怪我人に手を翳して、その手から光を発してるんだもん。
「んな事は後でいいからさっさっと行けよ。めんどくせぇ」
「お姉ちゃんに何て口利くの!」
まるで前のルークみたいな紫季に人差し指でさす。前々から思ってけど、紫季ってばかなり口が悪い。
「原因はアッシュかー!?」
「馬鹿か!んなわけあるかよ!死霊使い!さっさと連れてけよ!」
あの口の悪さはきっとアッシュと仲がいいせいだ。そうだ!と思ってたら体に浮遊感を覚える。一気に視界が高くなる。
「ジェイド!?」
「やれやれ、時間がないと言ってるでしょう」
気付けばジェイドの肩に担がれている。まるで俵を担ぐかのように。
「おい、死霊使い」
下からの声に二人で声の主である紫季を見るとジェイドを睨んでいた。
「落とすんじゃねぇぞ」
「全く、この姉弟ときたら…」
やれやれと息を吐かれた。言われなくても、と答え私を抱えたまま走り出すジェイド。街がどんどん遠くなる。ついでに早く下ろして欲しい。
やっと、やっとちゃんと話す機会が訪れたと言うのに状況は一切許してくれない。まるで私たちを引き離すように。共に刃を構えたときはすごく安心できて心地よかった。ジェイドたちといる時とはまた別の感じで。
全てはこれから。だからそのために前に進まなければならない。今からでも姉弟をやり直せるなら……違う。やり直したい。待っててね。絶対に助けるから、待ってて。