24 偽りなく君の手を取る
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「こっちだよ」
街道の途中でジェイドの軍が民間人の輸送を引き受けると、まあ色々言われた将軍は渋々と頷いた。と言うことで私らは街の住民を避難させるべく慌ただしく動く。一つの街の住民を一斉に移動させるのは容易じゃない。
「……あれ?」
街の門近くに見覚えのある姿。色素の薄い茶色の髪に黒い教団の服に、腰には私と色違いの紫の腰帯。じっとこっちを見ているのは、
「……紫季」
紛れもなくあれは紫季だ。私が気付いたのを気付いた紫季は一度視線を外したけど、意を決したようにこちらへと近寄ってくる。
「どうしたの!?」
こんな所に。と驚くことしかできない。だってまさか紫季から会いに来てくれるとは思いもしなかったから。
「……ここに、いるって聞いたから……」
そっぽを向いてぽつりと言う。誰に聞いたのかわからないけど、会いに来てくれたと言うことだけで十分嬉しい。けど――
「ヴァンの命令?」
アッシュはああ言ってくれたけど実際はわからない。話はしたい。でも、今の現状でそれは出来ない。崩落を望むヴァンの部下だから、安易に信用は出来ない。たとえ、弟でも。
「話をしたいけど、今はそんな時間がないの」
こんな時じゃなかったら、と思うけど私はマルクトの軍人だからこの街の住民を守る義務がある。抜きはしないけど腰の葛の葉に手を掛ける。
「……違う」
「えっ?」
私の方へと向き直った紫季が一言言った。しっかりと私を見て、違うと。前と違う雰囲気に戸惑ってしまう。前のようなあからさまな殺気は感じられない。落ち着いた雰囲気。そう言えば、アクゼリュスの時もダアトの時も何処か違ったような。
「知りたいんだ」
何を?と問おうとしたときだった。上空から不穏な気配を感じ、それと同時何かが降ってきた。降ってきた光線をジェイドとティアがすぐに譜陣を展開してそれを防ぐが、跳ね返った光線が門へと当たり瓦礫が住民の上へと落下する。