04 触れなくても消えぬ傷
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「私の場合、子供で尚且つ"正当防衛"で無罪とされているからね」
嘘をついた。幼い頃に確かに私は人を殺しているけど、正当防衛は立証されていない…世間では私のしたことは誰にも知られていない。でも、私は罪人なんだ…だから逆にこの刀を手放すことが出来ない。これがわたしの罪の証、決して忘れない為に。
「…そうですか。では陛下」
「ん?ああ、わかった。出発は明後日の朝だ。細かい詳細はジェイドから訊いてくれ」
ジェイドが顔を隠すように眼鏡に手を置いて少し呆けているピオニーに声を掛ける。ピオニーもブウサギを撫でる手を再び動かし始める。
「んじゃ、頼んだぞ」
馬車に揺られて数日、エンゲーブに到着した。私とジェイドとアスランはこの村の村長であるローズ夫人の家に挨拶に行く。家に中には恰幅のいい女性がいて、とても気さくな人で誰からも信頼されている人なんだろうなと印象を持った。
「このままじゃ、他の街に食料を流通出来なくなってしまいます。よろしくお願いします」
心底困っていると、ローズ夫人。放って置けばこの村も食糧難になってしまうかもしれないな。陣営用にテントが張れたのを確認して回っていると、何だか微妙に挙動不審な兵が一人いた。きょろきょろと辺りを気にしているみたいだ。
「何してるの?」
不審に思いその人物に声を掛ける。当然、私に気づいたがこちらを振り向こうとも返事を返しても来ない。さらに怪しく感じたが、被っているメットから見慣れた金髪と褐色な肌が見えた…それで私は確信した。
「何をしているんです。ピオニー陛下?」
両手を腰に当てて呆れたように再度声を掛ければ不審者…いや、ピオニーはビクッと肩を上げた。