04 触れなくても消えぬ傷
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「おう、来たか」
ジェイドの後に続いて部屋の中に入れば、執務室にブウサギを連れ込んで撫でているピオニーがいた。
「実は新たな任務の事なんですが」
早速と言わんばかりにジェイドが話を切り出した。ピオニーはブウサギを撫でてはいるが表情は先程と打って変わって真剣なものだった。
「エンゲーブで盗賊団による多大な被害が出ています」
「それを討伐する為にアスランのとことジェイドンとこで班を編成することになたんだ」
説明をするジェイドの言葉にピオニーが続ける。
それが何なんだろうと首を傾げる。
「あなたもその編成される班に入れたいのですが…少々訊きたい事がありまして」
「訊きたい事?」
珍しく言葉を濁す。それよりも訊きたい事ってなんだろう。ジェイドとピオニーが互いの顔を合わせて頷く。
「紫鶴、あなたは…人を殺したことはありますか?」
目を細め声音を低くするジェイド。ジェイドのその言葉に私は眉根を寄せ表情を険しくする。しばらくの沈黙の後、私は答えた。
「…あるよ。人を殺したこと」
自分でも驚くくらい低い声だった。表情も冷めたものだろう。思い出す…その時の事を。でもその事は言いたくはない、まだ。私の言葉に驚いているのか表情に驚いているのか、ジェイドもピオニーも目を見開いていて、ピオニーに至ってはブウサギを撫でる手が止まっている。
「紫鶴…」
「詳しくはまだ話したくはないけど…五、六年位前かな。二人、人を殺した」
まるで他人事のように話す私をジェイドとピオニーはじっと見つめる。刀は持っているけど人を殺したことはないと思っていても、まぁ不思議はない。二人に…いや、アスランにもか。三人には私の世界で何処であろうと、法で執行される"死刑"以外の人殺しはご法度…大罪になると話してあるし。