23 過去に囚われた者へ
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「アスラン……ごめんね……」
治癒術士からしばらく安静にしていて下さいと念を押されるように言われた。あとインナーの首元も数日は閉めず首を圧迫させないようにとも言われた。傷自体は深くないけど場所が首だから血が多く流れたと言う。自分でこれをやったってことに怒っているだろうと思って頭を下げる。
「……君が無事なら、いいんだ」
優しく頭を撫でるアスラン。彼の顔を見上げればいつもと何ら変わらない笑みを浮かべていた。
「ちゃんと話すね。ピオニーんとこ、行こっか」
首の包帯はちょっと痒いけど外すとうるさいから外しはしないけど、外さなくてもうるさそうだ。
「君が怪我をしたことは報告はしてある」
「覚悟の上」
脱いでいた軍服を羽織り腰帯の紐もしっかりと結ぶ。葛の葉は帯には差さずに手に持って処置室から二人で出る。そこから宮殿へと向かう。久々に見る首都に感傷に浸る、ってこもないようで……というか浸ってる暇もないようだ。ジェイドの無言の圧力とピオニーの叫喚姿が目に浮かぶ。想像もしたくないけど。
「大変だったね」
「こんなんになるとはさすがに思わなかったよ」
ケセドニアで顔を合わせた数ヶ月後に崩落に巻き込まれて生死不明になってたんだから大変ってレベルでもないけど。随分心配をかけてしまったみたいだね。
「陛下は、君らは絶対に死んでない。生きていると信じてたよ」
「アスランは?」
意地悪な質問とわかっていてクスリと笑って彼の顔を見る。今日は落ち着いてるみたいだから少しくらい意地悪しても平気と思ったのが間違いだった。
「僕だって信じてたよ!でもさすがに崩落って聞くと心配で心配で夜も眠れなかったんだ!あの人だけじゃないからね!と言うか全く連絡がないから――っ」
「ストーップ!!」
人の手を取って我を忘れて喚き散らすアスラン。うん、やっぱり変わってない。安心するけどウザいのも変わらない。懐かしき日常が戻ったみたい。