23 過去に囚われた者へ
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「侵入者はおまえだったのか!グランコクマに何の用だ!」
「前ばかり気にしてはいかんな。坊主」
ラルゴを捕らえるべく武器を構えるみんな。私も葛の葉を鞘から抜く。と、頭から体に何かが駆け抜ける。脳裏には思い出したくない記憶。でも忘れてはいけない記憶。私を憎悪を持って睨みつける紫季の姿。最後には、血の付いた葛の葉を持つ私。そして、一つの感情が私を支配する。
「ガイ!?」
「いけません!カースロットです!どこかにシンクがいるはず……!」
突然ガイがルークに斬りかかる。ティアに突き飛ばされたルークはそれで攻撃を避ける。それを見たイオンが大きな声を上げる。目の前で起こってるはずの出来事がまるでテレビの画面越しから見てるかのように……他人事のように見えた。いつもの私なら動いてる。なのに動く気はならない、のに葛の葉を持つ力は増すばかり。
「おっと、俺を忘れなる……そしてあいつもな」
ガイに加勢するようにラルゴもルークに武器を向ける。その際に、奴は私を見た。みんなもつられるかのようにこちらを見る。
「紫鶴っ!?」
「何をしてますの!」
何を叫んでるんだろう?……ああ、そうか。わかった、この感情の意味。
「……私は、私自身が憎いんだ」
だからガイとは違う。そう言うことなんだ。ガイはルークが憎くて殺したくて斬りかかっている。でも私は私自身が憎いから、自分に刃を向けるんだ。首に冷たい物を感じた。
「残念、だったね……」
カースロット。人の記憶を利用して操るとか、たしかイオンが前に言ってたような……もう少しちゃんと聞いておけばよかった。憎しみを操るのだとしたら私は私が……自分でも驚くほど心ん中は落ち着いていて笑っていた。私を見るラルゴを含む全員が目を見開いている。刀をグッと首へと押し当て力を込めようとしたとき、地面が揺れた。