23 過去に囚われた者へ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そろそろ出口のはず……」
でも誰もいない。そう誰もいない。マルクト兵一人いない。ここに来るまでは各箇所にいたのに。ってことはやっぱり侵入者がいる。
「……あれ」
茂みから一人の兵士。ヨロヨロと覚束ない足で茂みから出てくる。もう立っていられないのか倒れそうになるのを慌てて駆け寄って支える。
「大丈夫!」
「……葛城……少、佐…」
目をうっすら開けてこちらを見る。肩から腹に掛けて鋭く深い傷はもう助からないと物語っていた。
「……侵、入者…が……」
「ちょっと!」
掠れた何とか聞き取れるくらいの声でそう告げると彼は息を引き取った。これだけのことを周りに感づかれずにやるなんて誰の仕業。神託の盾……いや、
「六神将?」
「ご名答だ」
絶命した兵士を地面へと寝かせ、この騒ぎの張本人と思われる人物の名を口にする。と後ろからあるはずのない返答。気配を消されてたとは言え、真後ろに来られるまで気付かなかったなんて。
「ピアシスライン!」
やられた……そう感じながらも反射的に振り返ると視界の隅には飛んできた矢を避けるラルゴの姿。
「紫鶴、大丈夫ぅ!?」
「アニス……みんな」
置いてきたはずのみんなが意外と早く出口へと辿り着いた。矢を放ったのはナタリア。
「無事ですか?」
「うん、ありがと」
立ち上がってみんな同様に武器に手を掛ける。距離を取ったラルゴも武器を構えて、口の端を上げて笑みを浮かべていた。
「お姫様にしてはいい腕だな」
「おまえは砂漠で会った……ラルゴ!」
ナタリアは私が斬られそうになったのを見てとっさに矢を打ったのだろう。だから相手が誰だったか確認せず、今見て知ったようだった。相手がラルゴだとわかるとキッと目を吊り上げ睨みつける。