23 過去に囚われた者へ
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初めて出会ったあの土地で彼からの思いもしなかった告白。それ自体はされたのは初めてじゃないけど、予想だにしてなかったせいか妙な気分だった。嫌いじゃない。どちらかと聞かれれば好きだけど、彼の言う好きとはまだ違うだけはわかる。少しモヤモヤした気分を残したまま私たちはケテルブルクを後にした。歩いてテオルの森まで来たのはいいけど入り口にいた兵士は私とジェイドしか通せないという。仕方なく私はみんなの見張り役となりジェイドは一人先にピオニーの元へと行った。
「まだかなー」
「アニス、少し落ち着きなよ」
ジェイドがアクゼリュスの唯一の生き残りであるジョンを連れてグランコクマに向かって数時間。朝方に森に着いたけど、もうそろそろ昼になろうとしている。さすがに暇を持て余していると溜息も吐きたくなる。アニスに至っては近くの木をひたすら殴り続けている。ジェイドとジョンだけが中に入れたのが気に入らないみたい。痛くないのかなぁと思って声を掛けてもブツブツ何か言いながら殴るのを止めない。てかそれを笑顔で見つめるイオンの方が怖いと思ってしまった。
「んっ?」
「今のは……!?」
「悲鳴ですの……」
どう暇を潰そうかと考えていれば森の奥から悲鳴が聞こえた。みんなにも聞こえたらしく、私が様子を見に行くと言う前にナタリアの行ってみましょうの声に賛同して走り出す。私が残った意味……あんまないかも。
「しっかりなさい!」
「神託の盾の兵士が……くそ……」
「どういう……っ」
声のした方へと急げば一人のマルクト兵士が倒れていた。体中に傷を負い既に手遅れだ。ナタリアが回復を施そうとしたが神託の盾の兵士とだけ言って息を引き取った。これだけ警備を潜り抜けて他の兵士には気付かれない。一般兵じゃない、ってこと?
「グランコクマで何をしよってんだ?」
「まさかセフィロトツリーを消すための作業とか?」
「いえ、このあたりにセフィロトはない筈ですが……」
周囲を見回すけどこの辺りにはいないようだ。だとしたら侵入者は出口へと近付いている。何が目的かは知らないけど首都にこれ以上近づけさせる訳には行かない。