22 帰りし白き場所で
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「は~すっごいお屋敷。ここの人と結婚した~い」
と知事邸から宿へと向かう途中の大きな屋敷の前を通り過ぎるとアニスがぱあっと顔を輝かせる。思い切り、玉の輿に乗りたいと顔に書いてあるし。
「確かまだ独身でしたよ。三十は過ぎてますが」
「かなりの年の差だよね?」
ジェイドが楽しそうにこの屋敷の住人の事を話すとアニスの表情が更に変わった。明るくなったというか目がお金になってるような。わかりすすぎて、呆れそう。
「え、もしかしてここ大佐の家とか?だったら大佐でもいいなぁ」
「そうだとしてもお断りしますよ。でもここの持ち主なら喜ぶかもしれませんよ。女性ならなんでもいい人ですから」
お金持ちなら誰でもいいのかとツッコミそうになっちゃったよ。ジェイドが含み笑いを浮かべながら言うとアニスが食いつくように誰ですか、と聞き返す。
「ピオニーだよ」
「ひゃほー♪玉の輿ぃ」
ジェイドに変わって私が答えるとアニスのテンションはもうマックスのようだ。玉の輿ってレベルじゃない気がするけど、生活に苦労することはないよね……たぶん。今、アニスに手を出したら犯罪者になるのは間違いないとして。でもピオニーの事だから、二十歳になったらな。とか言いそうで怖い。
「皇帝は、首都の生まれじゃないのか?」
その辺りのことには疎いルークが聞いてくる。あんまり歴史というか敵国のこと……いや、自国のことですらあまりよく勉強してないだろうな。今のルークならともかく、あのワガママ言い放題だった頃のルークじゃ勉強してないか。結構、目の当たりにしたし。
「確か王位継承の争いで子供の頃、この街に追いやられたんじゃなかったか?」
「ええ、そうです。ここはその時のお屋敷ですよ」
私も聞いた話でしか知らない。追いやられたからジェイドたちと出会えたとぽつり零したことがあったっけ。