無事にイオンとナタリアを助け出せた。いくらダアトに行ったからとは言え、まさか紫季と再会できるとは思わなかった。しかも助けて、と言うか見逃してもらった。次……次会うときはもっと話が出来るはず。そう願って別れ、私たちは先へ進むためにグランコクマへと目指した。けどその途中でタルタロスは限界を迎えてしまい仕方なくケテルブルクへと行く事に。私の始まり地へ……ジェイドにとっても……



「失礼。旅券と船籍を確認したい」
「私はマルクト軍第三師団所属ジェイド・カーティス大佐だ」
「同じく紫鶴・葛城少佐です」



港にタルタロスに停泊させ降りると駐在してると思われるマルクト兵が近づいてくる。それにジェイドと私が前へ出て名乗る。私たちが名乗れば、兵士は驚き、慌てて敬礼をする。



「し……失礼しました。しかし大佐と少佐はアクゼリュスで……」
「それについては極秘事項だ。任務遂行中、船の機関部が故障したので立ち寄った。事情説明は知事のオズボーン子爵へ行う。艦内の臨検は自由にして構わない」



そう言えばと思い出したかのように私たちを見る目を変える兵士。崩落に巻き込まれたはずの人間が目の前にいるのは信じられないだろう。まだピオニーに報告していない事を彼に話す必要はない。



「了解しました。街までご案内しましょうか？」
「いや、結構だ。私はここ出身なのでな。地理はわかっている」



ジェイドの言葉を素直に頷くマルクト兵。たぶん親切心からだと思うけど、案内を買って出る。ジェイドがケテルブルク出身は結構有名だと思ったけど知らない人もいて当たり前なのかな。



「わかりました。それでは失礼します」



もう一度敬礼をして兵士は去っていった。私もここに来るのは久しぶりだ。珍しく感傷に浸ったのかゆっくりとあたりを見回した。