21 手を伸ばせばそこに
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「んで、どこにいるの?」
「さあ?」
問題はそのトリトハイムが何処にいるのか。この教会って何気に大きいよね。ってことは部屋数もいっぱいだよね。しかも中の構造がどうなってるかわからないからアニスとティアに頼らないとわからん。
「紫鶴は初めてじゃないでしょ?」
「あん時は救出場所までしか行ってない」
悠長に教会内を徘徊してる時間なんてなかったての。時間との戦いでもあったのに。
「ん?人の声?」
通路の方に入って通ろうとすると話し声らしきものが聞こえる。壁に背を預け誰が話しているのかを盗み聞きしてるとその声の主はどうやらモースとリグレットのようだった。
「ええいっ!ヴァンの奴とはまだ連絡が取れないのか!?」
「申し訳ありません。総長閣下はベルケンドに視察に向かわれて……」
何やら苛立ちを露わにするモース。リグレットが説明しているというのに話を遮るようにまだぶつぶつと言っている。
「ようやく預言通り戦争が起こせそうなのだぞ。こんな大事なときに、あやつは何をしているか」
あー暑苦しい顔で大声出さないでよ。リグレットもモースには気付かれないように顔を背けて息を吐く。ある意味、同情するよ。
「大詠師モースは一足先に、バチカルへ向かわれてはいかがでしょうか」
「仕方ない。そうするか」
これ以上うるさくされても適わないと思ったのか、送りますと先導するようにこちらへと歩き出すリグレット。気付かれてはマズいと慌てて私たちも来た道を戻り隠れる。
「モース様、それに教官まで……本当に戦争を起こそうとしていたなんて……」
信じて疑わなかった上司と恩師が預言通りとはいえ戦争を望んでいたことにショックを受けるティア。真面目すぎるのかもしれない。自分の信じたものには微塵の疑いを持たないのかも。だから、受けるショックは大きい。