20 変わりし君に触れる
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「アッシュは……いいや。これは私と紫季の問題だ」
彼から見た紫季はどんな風なのか仲はいいのか。アッシュは私たちのことをどこまで知っているのか。私が知ってる屈託のない笑顔をまだ見せてるのかとか色々聞きたいことはあるけど、それはちゃんと決着を付けてから本人から聞こう。
「お前は紫季を恨んだり憎んだりしないのか……」
唐突に言われた言葉に一瞬理解が出来なくて頭の中が真っ白になる。一体何を言っているのだろうと自分の表情が歪んでいくのがわかる。私が理解できないでいるからかアッシュの眉間の皺も深くなっていく。
「理由も言わずに斬りかかられて怒ってねえのかって聞いてるんだ!」
「最初からそう言ってよ」
何に対して恨まれてるんだかさっぱりわからなかった。あの子が私をってのはわかるけど私が紫季をってのは
「全くない」
そう、ない。恨まれる謂われはあっても恨む理由なんて微塵もない。あまりにキッパリと言ったからかアッシュはキョトンとっと目を丸くした。あ、珍しいもの見た。紫季に会ったときに話してみようかな。面白いって。
「紫季は私を憎んでるとわかってるけど、私が紫季を憎むことは絶対にないよ」
可愛い頃の紫季しか知らない。憎まれる理由がわかってるから私から憎むことは無理。
「あいつに聞かせてやりたいもんだな」
「まあその内ね。早くちゃんと話したいな」
今は私に時間がない。個人的なことより優先することがある。だから、もう少し落ち着いたらゆっくり話したい。十数年振りに姉弟の会話を楽しみたい。あー楽しめる可能性は皆無だと思うけど。
「おまえが思ってるほどじゃないさ」
アッシュはそれ以上話すことはないと言った風に船内へと戻っていった。彼と話して、紫季との再会に期待を持ちつつ、逸る気持ちを抑えるためにしばらく海風に当たっていた。