19 彷徨える心
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「よく押さえましたね」
「私が言っていいことじゃない。それくらいは、わかるよ。納得してるわけじゃないけどね」
私が言っていいことじゃない。彼らと一緒に旅してきたけど、その輪には入りきれない。本来なら自分で気付くべきなんだ。
「困ったもんだね」
「全くです」
自分が何を言っているのかわかっていない。見えていない。思いを理解できるけど、共有はできない。ちゃんと気付いてくれるといいけど。
「紫鶴」
「おや、アッシュだ」
先を歩いていたはずのアッシュが最後尾の私たちの側に寄ってくる。
「どうかしたの?」
「……悪いな」
ただその一言だけを言ってアッシュはまた先を歩きだした。
「なに?」
「大方、自分のせいでナタリアがああ言ったからでしょう」
あなたが掴み掛かろうとしたのを横目で見てたのでしょう。だから、何も言わずに我慢してたことに感謝の意を込めた意味で言ったのでしょう。ってね。うーん、私が気を遣わせてしまったか。
「己が強さ、か」
私自身、まだ己の強さなんてわからない。この刀を継いだときからその言葉の意味を考えてばかりいた。そんな簡単にわからない。だから、まだ私は自分の力を制御できずに暴走ばかりしてしまう。迷惑ばかり掛けてしまう。
ルークは次に会うときにはその意味を理解してくれるのかな。もやもやしたものばかりが頭の中を駆け巡って何が正しくて何が間違いかもよくわかんない。
私も前を見なくてはいけない。きっと過去に囚われたままでは前には進めない。今度再会したときは私も彼と共にその強さを見つけていきたい。