19 彷徨える心
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「俺は降りるぜ」
問答無用でワイヨン鏡窟に向かうことが決まるとここしばらく様子のおかしかったガイが突如背を向けてそう言った。この言葉に誰より驚いたのはアッシュだった。明らかに動揺が走っているのか今までに見たことがないくらい不安が顔に出ていた。
「……どうしてだ、ガイ」
動揺は声にまで現れている。あのアッシュがガイの一言でこんなんになってしまうとは。
「ルークが心配なんだ。あいつを迎えに行ってやらないとな」
「呆れた!あんな馬鹿ほっとけばいいのに」
ルークを迎えに行くというガイにアニスが信じられないという風に眉間に皺を寄せた。あれだけの事をして反省の色を見せなかったルークは迎えに行く価値はないと言わんばかりに。
「馬鹿だから、俺がいないと心配なんだよ。それにあいつなら……立ち直れると俺は信じてる」
「ガイ!あなたはルークの従者で親友ではありませんか。本物のルークはここにいますのよ」
ガイの言葉になんか私が嬉しくなった。たった一度の過ちがみんなの心をルークから引き離した。それなのにそれでもルークを信じるというガイ。
それに対してナタリアの言葉には遺憾を憤りを覚えた。カッとなって思わず掴み掛かりそうになってしまうのを何とか耐える。瞬時的にそれを察したのかジェイドが私の手を掴む。小さく首を振って大丈夫だと意志を伝える。
「本物のルークはこいつだろうさ。だけど……俺の親友は、あの馬鹿の方なんだよ」
ルークのことを思い出してかふっと笑みを見せるガイ。確かに幼い頃、少しとは言え共に過ごしたルークはアッシュ。けど誘拐事件から今まで共に過ごしたのはユリアシティで眠るルークが自分にとっての親友だという。被験者とかレプリカとか関係ない。七年という歳月の中で育まれた友情はたった一度の過ちで壊れるものじゃない。
そういうの嫌いじゃない。