18 受けるべき報いの道
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「しっかり掴まっててね」
素早く意識を失い掛けているジョンを背負い、小さな両手を私の胸元辺りに落ちないように握らせる。どぷん、泥の海へと飛び込めばそんな音が立つ。自分とこの子の顔が海へと着かないように何とか立ち泳ぎでみんなの元へと進む。お祖父ちゃんから教わったらこの泳ぎが役に立つとは……こんな泳ぎを生み出した昔の武士に感謝すべきなんだろうな。
「…ジェイドっ…」
「今引き上げます!」
陸へと着けば背中のジョンをガイが引き上げ、手を伸ばす私をジェイドが引き上げる。私が声を掛ける前にナタリアがジョンへと治癒術を施しているのを見て安堵の息を吐くと隣から温かなものを感じた。
「無茶しすぎだわ」
「ティア……ありがと」
怪我はさっき治してもらったが瘴気を含む泥の海を泳いだ。小さな傷も新たに作って痛いなとは思ったけど、ティアの治癒術のおかげでそれもすぐに消えた。
「ガイ。その子は…」
「大丈夫だ、息はしてる」
それは喜ばしいことだけど、素直には喜べなかった。首だけ泥の海へと振り返れば無数に浮いていた板はもう沈んでいた。パイロープさんも、海の底へと沈んでしまった。
「あの少年を助けられただけでも奇跡です」
「私は欲張りなんだよ」
普通なら助けられなかっただろう。あの子を助けられたのは、今まで培ったお祖父ちゃんの教えがあってこそ。そして、年は違えども彼を思いだしてしまい、ジョンを見捨てることができなかった。こんな形で親と離ればになるなんて見たくなかった、けど助けきることは無理だった。
「タルタロスへと行きましょう。緊急用の浮標が作動して、この泥の上でも持ちこたえています」
それに二人をこのままにも出来ませんからね。と泥まみれの私とジョンを交互に見る。確かに乾き始めた泥がパリパリと張り付いて皮膚がちょっと痛い。