18 受けるべき報いの道
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「父ちゃ……ん……痛いよぅ……父ちゃ……」
「お待ちなさい!今助けます!」
怪我をしているのか痛みを訴えるジョン。たぶんパイロープさんは既に息絶えているだろう。それを察したナタリアが泥の海へと助けに入ろうとする。
「駄目よ!この泥の海は瘴気を含んだ底なしの海。迂闊に入れば助からないわ」
「ではあの子をどうしますの!?」
駆け出そうとするナタリアの手首を掴み止めるティア。かと言って放っておけないとナタリアが悲痛の叫びをあげればティアはここから治癒術をかけるという。が、時間は待ってはくれない。
「おい!まずいぞ!」
「いかん!」
沈み始める板。まだ生きているあの子はこのままでは死んでしまう。そんな事があっていいのか。何の罪もない、ただ父親に会いに来ていた少年を……助ける術なく見殺しにしていいのか。
「いいわけないっ!」
「紫鶴!?」
今私たちがここにいて何もしないなんて絶対にイヤだ!足掻いて足掻いてそれでも駄目なら……更に足掻けばいいだけ。動かなければ事は為せない。
「葛城紫幻流――四の式!霧雨!」
基本は三の式の霞と同じ抜刀術。ガイの真空破斬とほぼ同じ。刀を薙払い、その勢いで発生した風の刃が泥の海を割る。ジョンへと向けて海は避けるが加減はしている、あの子を斬ることはない。
「紫鶴!待ちなさい!」
ジェイドやみんなの制止の言葉を無視し、私はジョンへと向けて駆け出す。助走をつけてかろうじて浮く板を飛び乗り、移動する。ジョンとパイロープさんを乗せた板の隣まで行き、パイロープの下敷きになっているジョンを力任せに引き抜く。
「――くっ」
そのせいで私の乗る板も沈み始める。このままでは私もこの子諸とも沈んでしまう。このままだと……それは諦めの言葉ではない。助ける、そのための先への言葉。