この腕に抱けるなら
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「…何だ」
「いえ、陛下は紫鶴が好きなのでしょう?」
突然そう問うアスランに当然と言わんばかりに当たり前だろ。と答える。するとアスランはそうではありません。お分かりでしょう?首を振る彼にさすがのピオニーも顔色を変えた。
「好きだったらなんだ?」
開き直るわけでもなくしっかりはっきりと答えるピオニーにアスランはいいえ、それが聞けただけで十分です、と優しく微笑んだ。
「言わないんですか?」
「言えるわけないだろ……それよりお前こそどうなんだ」
想いを告げないのか。それには以前にも味わった辛酸を嘗めた過去を思い出される。どんなに想っても報われない。それは自分が何者であるか……それが一番の何があっても越えられない壁。『皇帝』……この椅子を降りるつもりはない。今の自分の側に置くと言うことはこの見なくてもいい裏の世界を見なくてはならない。あの少女には見せたくない。
「私は本当に実の妹のように愛してるだけなんです。恋愛じゃ、ないですよ……」
「似たようなもんだ……それに、紫鶴ならもう決めてる」
これからの自分を。迷ってる箇所もあるだろうがそれも前へ進むための布石にしている。その中ですでに隣にいたい人物を決めてるかもしれない。それに近い存在、もしくはまだ気付いてないだけかもしれないが。
「俺には見守ってる方が性に合ってる」
今はそれで十分。生きている…自分がそう思っている以上、絶対だ。
「アスラン。議会の招集だ。その後、各師団長の召集だ」
「わかりました」
出来るものなら今すぐにだってこの腕に閉じ込めたい。けどそれを彼女は望まない。自分に出きるのは見守るだけ。
それでいい……たとえ自分が幸せにしてあげれなくても彼女が笑ってくれるなら。
それでいいんだ……