この腕に抱けるなら
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「分かっている……が、崩落したというのなら俺らにはどうしようもない。今の俺らがするべきことは…」
一度言葉を止め天を仰ぐ。目を閉じたまま前を見据えてゆっくりと目を開けば一つの決意を表す。
「この一件で和平条約の締結は破棄される…それによって起こるだろうことの対処だ」
己を押し殺して、感情を殺して皇帝としての判断を口にするピオニーの言葉に弾かれたようにアスランは落としかけていた顔を上げた。俺だって生きていることを願いたい、今すぐに現地に駆け付けたい……小さく続けた。
「…そ、ですね」
それはアスランとて同じ思いだった。駆けつけられるものなら駆けつけたい。けど当のアクゼリュスは崩落してしまった。たとえ行ったとしても何も残ってはいない。誰もいない。
「落ち込むな、アスラン」
「無理を言わないで下さい…」
苦笑浮かべるが声のトーンはいつも通りのピオニー。突きつけられた現実に項垂れ肩を落とすアスラン。そんな臣下に何の言葉を掛けることなく深く座っていた椅子から立ち上がり側に歩み寄る。
「俺は二人が死んだとは思ってないぞ……もちろん、あいつらと一緒にいたやつらもだ」
「何の根拠に!?」
ポンッとアスランの肩を叩き何処からそんな自信が生まれるのか確信に満ちた笑顔を見せる。その瞳も真っ直ぐで迷いはない。この現実を目の当たりにしてどうしてその様にいられるのかアスランには分からなかった。ジェイド程ではないとはいえ、アスランだってピオニーとはそんな短い付き合いではないが未だに彼と言う存在は計り知れない。
「何言ってるんだ?」
両手を腰に当て、更に口角を上げて笑う。お前こそ何を根拠にあの二人が死んだと言うのだと言わんばかりの自信を持って。