この腕に抱けるなら
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ーマルクト帝国領ー
首都グランコクマ
水上の帝都と呼ばれるにふさわしく水と緑の自然に覆われた都市。街の隅々まで水を張り巡らせたこの都市は水の帝都とも呼ばれている。
この国を治めるは陽気でおおらかな人格な持ち主であるピオニー・ウパラ・マルクト九世皇帝陛下だ。
そんな皇帝が自身の執務室でペン片手に頬杖をつきながら書類とにらめっこをしているとコンコンと扉をノックする音がした。また書類が増えるのかと思い溜息を吐きながら入れ。そう返事をすれば失礼しますと銀色の短い髪の高い階級を表す軍服を身に纏った青年が入ってきた。
「もうこれ以上はいらないぞ」
「何の話ですか……それより、あまり良くない報告が入りました」
入ってきた青年ーアスランの顔と手に持つ紙の束を見て眉を顰めしっしっと犬でも追い払うように手を振る。が、当のアスランもまた眉を顰めあまり芳しくない表情を浮かべていた。それに何かあったのかとピオニーが問う。いくらアスランが真面目で下手な冗談が通じないとは言え、その表情はどこか切羽詰まるような焦るようなものでピオニーはペンを机に置き、側に寄るアスランから手渡された書面に目を通す。
「……アクゼリュスが……崩落したとのことです…」
街ごと跡形もなくなり、生存者は見当たらない。この事態にキムラスカも原因を探るとともにこの度の平和調停にも疑問の念が囁かれるかと。
「だろうな」
「陛下!そんな呑気なことを言ってるんですか!?」
手渡された書類を無造作に机へと投げ椅子の背もたれに寄りかかるピオニー。アクゼリュス崩落……その言葉の意味を分かっているはずなのにただ一言、そうだな。そう発したピオニーに怒りを覚え感情のままに机に手を叩きつけるアスラン。アクゼリュスが崩落したのなら彼らは、そこに向かった二人がどうなったのか分かってるというのになぜそんなに冷静に言えたのかアスランには分からなかった。