17 その胸に刻むは…
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「……放せ!俺もここで朽ちる!」
「紫季ーっ!待って……話が…」
「イオンを救うつもりだったが仕方がない。おまえを失うわけにはいかぬ」
腕を銜えられたアッシュはそれから逃れようと暴れるが魔物は全く物ともしない。私も上空へと上っていく紫季を呼ぶが、彼は複雑そうな表情を浮かべて私を黙って見下ろしていた。
「兄さん!やっぱり裏切ったのね!この外殻大地をさせるって言ったじゃない!」
後ろにいたティアが前に飛び出し、今にも泣きそうな顔で悲痛な叫び声をあげる。外殻大地を存続?聞き慣れない言葉に思考を持って行かれそうになったが首を軽く振り、目の前の事態に備えて切り替える。
「……メシュティアリカ。おまえもいずれわかる筈だ。この世の仕組みの愚かさと醜さが。それを見届けるためにも……おまえだけには生きていて欲しい。おまえには譜歌がある。それで……」
そこまで言うとヴァンたちは上空へと消えていった。紫季もアッシュもいなくなり、地響きするアクゼリュスに取り残された私たち。今にも崩れるのではないかというくらい揺れ始める。
「どうなってるの?」
「わかりません……紫鶴!怪我を…」
誰より先にここにいたのに現状が把握できていない。ジェイドたちを置いて先に来たからなんだろうけど。それでもよくは分からないと首を振るジェイド。私の腕が血で赤く染まっているのを見て声を上げたが、大丈夫と笑みを浮かべてみせる。すると更に揺れが激しくなった。
「まずい!坑道が崩れるます!」
「私の傍に!……早く!」
今にも崩れそうな坑道。ティアが譜歌を歌い始めると周囲が光り出す。ガイが意識を失って倒れているルークを背負い、ジェイドがイオンを背負う。ミュウはアニスがしっかりと胸に抱く。全員がティアの傍に寄ると大地に亀裂が走り、崩れていく。
落ちていく……大地が崩れ落ちていく……