17 その胸に刻むは…
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「葛城紫幻流、三の式ーー霞!」
一度刀を鞘へと戻し、柄に手をかけたままリグレットへと走り出す。まだ詠唱途中……この抜刀の技なら譜術が完成する前に攻撃が出来るはず。
「ちっ…」
「歪められし扉、今開かれんーーネガティブゲイト!」
私の技を寸での所で躱したリグレットだったが次に待ち受けていたのはアニスの放った譜術だった。術を食らったリグレットはその場に膝を着いたが、こちらからの追い打ちを避けるように再び崖の上に登る。
「ティア……その出来損ないの傍から離れなさい!」
「出来損ないって俺のことか!?」
崖の上から私たちを……ううん、ルークを見下ろして言うリグレット。出来損ない、この言葉の意味。これにルークは眉を寄せてるが、一人。一歩二歩と前を出る人物がいた。
「……そうか。やはりおまえたちか!禁忌の技術を復活させたのは!」
「ダメ、ジェイド!」
「ジェイド!いけません!知らなければいいことも世の中にはある」
いつもの冷静さを失い取り乱すジェイドの腕にしがみつく。戦闘中は後方で隠れていたイオンも彼の側に寄る。私はともかくイオンがこの事に触れるなんて。私もジェイドも目を見開いてこの緑髪の少年を見彼は……知っている。全てを知っている。
「……君は…」
「イオン様……ご存じだったのか!」
さすがの私もジェイドも驚きが隠せなかった。みんなには言ってなかったけどイオンのことは聞いていた。コーラル城でジェイドの過去をピオニーから聞いたこと、それを知られた後にバチカルでその疑いという話を聞いた。ルークのことは何も聞いてはなかったけど、予備知識があればいらくなんでも感づく……廃工場跡のことがそれを物語るかのように。
「な……なんだよ?俺を置いてきぼりにして話を進めるな!何言ってんだ!俺に関係あることなんだろ!?」
「……誰の発案だ。ディスト!?」
怒りの満ちた声。赤い瞳もその色を濃くして頭上のリグレットを睨み付ける……事態を飲み込めなルークを無視して。