02 葛の花、咲き誇る
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「やっちゃったか…」
「紫鶴?」
手の甲を見つめたまま、ぽつりと呟く私の顔ををピオニーが覗き込む。そう言えば頬が痛い気がする。
「待て、擦るな」
頬の痒さに手の甲で触れようとしたら、ピオニーが私の手を掴んで止める。ポケットからハンカチを取り出して私の頬にそっと触れて頬に血ついている血を拭ってくれた。
「ジェイド。女の顔に傷つけるとはどう責任取るんだ?」
「はぁ~仕方ありませんねぇ…紫鶴。私の所に嫁に来ますか?」
「とりあえず遠慮しとく」
あからさまにふざけていると分かっているから二人の掛け合いに乗ってみる。私がそこで即座に答えるとは思ってなかったのはジェイドとピオニーは顔を合わせ、ピオニーは腹を抱えて笑い出し、ジェイドは眼鏡に手を置いて何度目かとなる溜息を付いた。
「…ところで紫鶴」
「はい?」
まだ腹を抱えて笑うピオニーを無視してジェイドが私を見下ろしながら声を掛けてきた。
「先程のは一体?」
先程の…記憶は無いが見当はつく。たぶん私が”暴走”したんだ。
「暴走かな…」
「暴走、ですか?」
葛の葉を鞘に収める。手の中の葛の葉を見つめたまま言えば、ジェイドは私の言葉を繰り返す。
「昔にもあってね…血を見ると暴れだすというか、ほんと簡単に言うと暴走なんだけど。よほど油断しないと、ああはならないんだけど…迷惑掛けたよね?」
顔を上げればピオニー以外の全員が私を見ていて、その目は畏怖するものだった。
「迷惑というか…お腹は大丈夫ですか?」
「うん?ん、まぁ、ちょっと痛いけど平気」
少し払ったぐらいでは落ちなかったブレザーの足跡を擦る。足跡からいって誰かに蹴られたのは分かるけど。