17 その胸に刻むは…
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「はぁ……はぁ、はぁ」
急な峠道を登っていき山頂付近に着く頃、肩で息をしたイオンがその場に座り込んだ。アニスがすぐさま駆け寄り、その様子を見る。側を歩いたティアもイオンの傍らに膝を着き顔をのぞき込む。
「大丈夫ですか?少し休みましょうか?」
「いえ……僕は大丈夫です」
「駄目ですよぅ!みんなちょっと休憩!」
私もイオンの前にしゃがみ込み、顔色を窺う。青い顔で肩で息をするほど疲れているというのに、さっきのルークの言葉を気にして大丈夫だって言ってるんだ。
「休むぅ?何言ってんだよ!師匠が先に言ってんたぞ!」
アニスの提案にみんなが頷くなか、またもルークだけが反論した。ナタリアもガイもいいではないかキツイ山道だから仕方ないと言うが、自分を無視された事を腹を立てたのバカの一つ覚えみたいに『俺は親善大使』と言う。
「ア……アンタねぇ!」
「では、少し休みましょう。イオン様、よろしいですね?」
「おい!」
「ルーク、すみません。僕のせいで……」
完全にキレたアニスが本当にルークに殴りかからんばかりの勢いで睨み付ければ、タイミング良くジェイドが休憩すると言った。勝手なことを言うなとでも言いたかったのかルークが大声を上げかけると真っ青な顔のイオンが申し訳なさそうに目を伏せると舌打ちはするが少しだけだぞと許可を出す。
「……なんかおかしいね」
「何がです?」
一人みんなから離れて休息するルークに視線を向けながら呟く私。分かってるだろうに……と睨みつけてやりたいけどまぁそこはいいや。
「何を焦ってるんだろうって」
ティアも同じ事を思ってるのか彼を見ていれば彼女はルークに何か話しかけている、がどうやら一言二言話すとティアは立ち去り、ルークは苛立ったように地面を蹴る。
「……冗談抜きでイヤな予感がする…」
前にも同じ事を言ったときは縁起でもないと軽く返したのに、今回は何も言わなかった。ジェイドも何か察してる……不安は増し拭えない。