17 その胸に刻むは…
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「ちぇっ。師匠には追いつけなさそうだな。砂漠で寄り道なんかしなけりゃよかった」
デオ峠に入ってすぐのルークのこの言葉。全員が固まる中、アニスから微力の殺気が放たれた。キッと睨みつけて今にも食ってかかりそうな勢いだ。
「寄り道ってどういう意味……ですか」
「寄り道は寄り道だろ。今はイオンがいなくても俺がいれば戦争は起きねーんだし」
イオン救出を『寄り道』と称されたことによほど腹を立てたのかアニスが相手がルークだと言うことを忘れて怒鳴り返そうとした。がすぐに気がついのだろう、語尾を付け加える。でもルークは更に追い打ちというか火に油を注ぐかのようにアニスにそう返した……自分さえいればいいと。
「あんた……バカ……?」
「バ、バカだと……!」
この言葉に完全にキレたアニスはルークを睨み付けて今までの態度を覆すように本性を現した。そしてその言葉はアニスだけではなく他のみんなにも目を見張る言動だった。
「ルーク。私も今のは思い上がった発言だと思うわ」
「この平和は、お父様とマルクトの皇帝が、導師に敬意を払っているから成り立ってますのよ。調停役が存在しなくなりますわ」
ティアとナタリアが諫めるように言えばルークは不服そうに黙ってそれを聞いている。バチカルに戻ってからのルークはなんかおかしい。わがままを言ったりとかは変わらなくても……誰かに何かあれば心配して気にかけてたのに。何が短期間でルークを変えた?
「いえ、両国とも僕に敬意を払ってるわけじゃない。『ユリアが残した預言』が欲しいだけです」
僕なんて必要ないんですよ。と自嘲じみた笑みを浮かべるイオン。
「そんな考え方には賛同できないな。イオンには抑止力があるんだ。それがユリアの預言のおかげでもね」
「なるほどなるほど。皆さん若いですね。じゃ、そろそろ行きましょう」
みんながルークの発言に遺憾を示し、自身を否定するイオンを宥めているとジェイドは自分はどうでも言うというように意味深な言い方をして一人先を歩きだしてしまった。