16 堕ち掛けた幸福
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「ジェイド、降ろして」
「駄目です」
説明をしなくては。だから降ろしてくれという紫鶴をジェイドは間髪入れずに却下する。もう一度降ろしてと言うがジェイドは再び首を振る。
「申し訳ありませんが先ほどの紫鶴のことはピオニー陛下の許可なしにお話する事は出来ません」
「えー!?何でですかぁ?」
「倒れた理由くらい教えてくれてもいいだろ」
ティアの疑問についてもジェイドは首を振った。当の本人である紫鶴が話そうとしてもジェイドは『ピオニー陛下』の許可がなければ話せない。その答えにアニスが頬を膨らませる。これにはティアとアニスだけではなくガイ達も納得できないでいた。
「何をどう言われようとそれしかお答えできません」
それ以上ジェイドは答えることなく次の目的地であるケセドニアへと足を進めた。そんなジェイドに何か言おうにも結局は口を噤んだ紫鶴はルークらに首だけ振り返り、ゴメンね。とだけ言った。
再び悪夢は訪れた。今度こそ紫季にオールドラントへ来た経緯を訊きたかったのに私の暴走によりそれを全て聞くことは出来なかった。殺したいほど私を憎いという紫季。彼の全てを私が奪った……その言葉に否定をすることが出来なくて心の奥底に重くのし掛かる。
暴走した私を見て紫季は何を思ったのだろう。歩きながら、すみません。そうジェイドは言った。それは再び暴走した私を殴るなどして意識を無くし止めてくれたのはきっとジェイドだと言うことだろう。
私は……何処に墜ちていくのかな