16 堕ち掛けた幸福
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「ここが砂漠の下だってこと、忘れないでよね。アンタたちを生き埋めにすることもできるんだよ」
「むろんこちらも巻き添えとなるが、我々はそれで問題はない」
心中覚悟だ言う二人の言葉は本気で偽りはない。このまま早々とイオンを奪還しアクゼリュスへ急ごうとティア。陸路の遅れを取り戻した方がいいというジェイドにルークは渋々ながらも了承した。納得できない部分もあるが、ヴァンに早く追いつきたいという思いもあるせいだろう。
「イオン様!心配しました……」
「……迷惑をかけてしまいましね」
シンクらに解放されたイオンがゆっくりとこちらへ歩いてくる。イオンに怪我がないことを確認してアニスが安堵の息を吐いた。そのまま外へ出ろ。引き返すな……というシンクの言葉に応じ一同は来た道を戻り始める。首を少しだけ後ろのシンクらに向けたガイが小さな声でやっぱり似てる。そう呟き今度はイオンを見た。
「……あのような下賎な輩に命令されるとは腹立たしいですわね」
「え?ああ、そうだな。でもナタリア、こらえてくれよ」
ガイが『ナタリア』と彼女の名を呼ぶと、後ろでラルゴが驚愕の表情を浮かべ声を上げた。自分の名に反応したラルゴに訝しげな表情を浮かべなんですの?と問うがルークに行くぞと言われ首を傾げながらナタリアはルークらの後を追った。
「紫季、何があった?お前らしくもない」
「……よくわかんね。けど分かったのは死霊使いが何かを知ってることだ」
手にしたままの梓水は鞘へと収めルークらが去っていった方を見つめる。何がどうして突然あの様なことが起こったのか未だに理解が出来ない。アッシュの問いにも曖昧な返事しかできない。ジェイドは自分で紫鶴に聞けと言う。
何を?あんな状態になった理由を?ジェイドの言う紫鶴の闇を?殺したいほど憎いのは自分なの何故が紫鶴が紫季を羨ましがっているような憎悪を向けられているようにしか思えなかった。
その理由を知るのはもう少し先……