16 堕ち掛けた幸福
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「……ふふふっ」
膝を着き俯いたままの紫鶴が急に笑い出した。撃たれたことで気が触れたかととも思った。が、自分が知る限り。十年近くぶりの再会とはいえ彼女がこれくらいのことで怯むとは思えない。紫鶴の異変に紫季は眉根を寄せたが、直ぐに頭を振り降ろしかけた譜銃を構え直す。
「何がおかしい!?」
クスクス、と肩を震わせ笑う紫鶴。様子はおかしい。けど油断は出来ない。何か仕掛けてくる気かも知れない……ちらりと横目でシンクとラルゴのほうを見れば劣勢なのが見て取れた。多対一ではやはり分が悪い。それでも彼らは仮にも六神将なのだからそんな簡単に負けてもらっても困る。
「……っ!?」
目線を紫鶴へと戻すと彼女は立ち上がってこちらを見ていた。ただ立っていたなら驚きはしないが……紫鶴は笑って立っていた。自分を映す黒い瞳は、自分を見ていない。何を見ているのかすら分からない。
「……だあれ?」
「はっ?」
にっこりと微笑み問う紫鶴に寒気を覚えた。先ほどまでとは何かが違う。
「……まさか…意識が……っ!!」
無い……そう続けるより早く葛の葉を手にした紫鶴が一瞬して間合いを詰めてきた。咄嗟にと言うべきか条件反射と言うべきか。瞬時に手の中の譜銃でいつ打ち込んできたの分からない紫鶴の刀を受け止める。
「……くっ……」
受け止めるので精一杯……彼女の細い体のどこにそんな力があるのか。先ほどとは本当に何かもが違う。力もスピードも。何もかもが増していて付いていくことしか出来ない。
………一体何が起こったんだ!?