16 堕ち掛けた幸福
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「六神将烈風のシンク……本気で行くよ」
「同じく黒獅子ラルゴ。いざ、尋常に勝負!」
それが引き金となって一斉に散り始めた。シンクの元にガイとティア。ラルゴにジェイドとルークとナタリアが回った。なら私はシンクのほうに付こうとしたときだった。
「お前の相手は俺だ!」
前方からの声と殺気に葛の葉を抜き構えれば、ガキィーンなんて金属音が鳴り響く。それは言わずとも知れた人物で、私を憎しみに込めた目で見る紫季に私はどうしたらいいのか分からないけど、けどこの間のような失態は見せられないから目を離さず見つめ返す……紫季には聞きたいことがあるから。
「……どうしてオールドラントにいるの?」
互いに刀を押し合い、先日から思い続けていた疑問を問う。私は男の子を助けて代わりに車に轢かれて気付いたらロニール雪山にいた……じゃあ紫季はどうやってこちらの世界に来たのかそれこそ疑問だったから。
「それを知ってどうするんだ?ここで死ぬのに」
憎しみ……それ以上の殺意。紫季に何があった?こうして顔を合わせるのは十年くらい振り……言葉を交わしたのは何年前だったっけな。
「悪いけど…ここで死ぬわけにはいかない」
「死ぬんだよ!」
押し合う刀をいつまでもこのままでいるわけにはいかない。引いて体勢を整えようとしたけどそれより先に紫季が力任せに刀を押し返す。崩れそうになる体は瞬時に立て直す。これくらいはジェイドやアスランとの訓練で慣れている。悪いけどこれくらいでは怯まないよ。
「……二年前から、っての聞いた…でも!どうして麻生の家にいるはずの紫季がオールドラントにいるのかだかけは理解できないっ!」
何度か刀を打ち合う。この時点ではほぼ互角。葛城流の分家である麻生の当主の跡取りなだけはある。幼い頃のことしか知らないからその力量はどれほどのものか計れないから一片も油断できない。