16 堕ち掛けた幸福
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廃工場での一件以来、微妙にだけど私とルーク、他のメンバーとの間に亀裂が入った気がしないでもない。ルークそっくりのアッシュ。二年前の神託の盾騎士団に入ったという紫季とその彼を知っている私。ルークとアッシュのこともさることながら、私と紫季のほうはどういうことだと皆訊きたげにしている。その件に関しては、
「……全部に確信が持てないから……話したくない」
そう言ってはっきりしたことは言葉を濁した。実際、どうして紫季がこのオールドラントにいるのかすら分からないのだ。ジェイドと似たような事を言ってるけどみんなの中で私は『ジェイドの妹』みたいで似たもの義兄妹と思ってるらしくなんとなく納得された。
「アーツーイー!」
「って言わないの。余計に暑くなるから」
砂漠出てから、だらんっと肩を落とすアニス。『暑い』って言うから暑いんだと言っても暑いものは暑い!と叫ぶアニス。でもアニスやティアはいいじゃん手足出てて。私やナタリア、ジェイドは肌の露出部分がほとんどないって言うのに。まぁ砂漠の日差しは危ないと言うから肌を出す方が危険なんだけどね。
「いてぇ……なんだ……!?」
オアシスに辿り着いてすぐ、ルークが呻き声を上げながら頭に手を置きその場に立ち止まる。
「ルーク!また例の頭痛か?」
「例の頭痛?」
その痛みのせいか「…うぅ」と呻き続けるルークを見てガイが眉を顰める。ルークの頭痛が『例』のなんて意味深じみて言えば真っ先にルークに駆け寄ったティアが首を傾げる。
「誘拐されたときの後遺症なのか、たまに頭痛がして幻聴まで聞こえるらしいんだ」
後遺症にしてもはっきりとした原因は分からない。医者に見せても健康としか言われない、治す方法もなく七年間もこの頭痛と幻聴に悩まされてきたという。