15 それすらか必然か
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「ところで……イオン様が連れて行かれましたが」
「……あああ!!しまったーっ!」
重い雰囲気の中、タルタロスの去っていった方角を見ながらジェイドが言うとアニスが両手を頭に置いて叫び声を上げた。これに他のみんなもハッとした。何かを話してる。しっかりしなきゃ。分かってる。今は今事で悩んでる場合じゃないって、でも頭はそう言っていても心は納得しない。
「紫鶴」
刀を雨に濡れた地面に落とし、膝をついて項垂れる私の前に誰かが立つ。誰かなんて言い方はおかしかったかもしれない。こんな状態の私の側に寄って来るのは彼ぐらい。
「……ジェ、イド……」
「しっかりなさい」
腕を引かれ無理やり立たされる。何とか立ったけど、ここか動く気にはならない。私の頭の中は紫季のことばかり。なんでどうしてがずっと繰り返されていてどうにもこうにもならない。ジェイドが何か言っている気がするけどそれは右から左へと流れていってしまう。
「……ほっといて」
今は他の事なんて考えたくない、聞きたくない。だから――
ぱしっ!
小気味のいい音が雨音共に鳴り響く。頬が痛い。ジンジンとして痛い。視界の変わった顔をゆっくりと元に治す。見上げれば私を睨み付ける様に見下ろしているジェイドの姿。遠くから私の名を呼ぶ声と悲鳴が聞こえた。呼んだのはガイとアニスで、悲鳴を上げたのはティアとナタリア。
「あなたはここに何をしにいるのですか?ピオニー陛下に何を託されたのですか?やる気がないのならこのまま本国に戻りなさい」
すーっと頭の中が覚めていく。冷めるではなく覚める。忘れてた。これから何をしに行くのかを。どうしてここにいるのかを。
「……ごめん。アクゼリュス行かなきゃ。ピオニーの大事なもの助けに行かなきゃ。もちろん、イオンのことも助けなくちゃ」
「その通りです」
そうだ。今は私情に駆られている場合じゃない。前に進まないと。なにがどうしては今、やらなきゃいけないことを終わらせてからでも遅くはない。進まなくちゃ。ピオニーがアスランが待ってる。