02 葛の花、咲き誇る
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「ジェイドからの報告によるとお前、武器を所有していたみたいだな」
「はい。でも、今はジェイドさんが持ってますよ」
と、隣に立つジェイドを見上げる。それに釣られてかピオニーもジェイドを見る。
「これです」
ずっと手に持っていた私の荷物を前に出す。学校指定のバッグと刀袋。刀袋の方をピオニーに差し出し、ピオニーはそれを受け取って袋の中から木刀と葛の葉を取り出す。
「剣…いや、カタナ?」
「はい、名を『葛の葉』と言います」
ピオニーは葛の葉を鞘から抜いてその刀身を見てぽつりを名を呟く。葛の葉の美しい刀身にその場にいた者は見惚れている。
「己の芯の強さを振りかざすが為に…これが葛の葉の意味です」
「意味?」
「はい。刀の名にはその意味が込められています。私は先日、この刀を受け継いだばかりです」
さすがに皇帝陛下にタメ口は利けないから一応敬語で。私の説明になるほどと納得をする面々。
「お前の剣の腕を俺に見せろ」
「「「はっ?」」」
ピオニーは葛の葉を鞘に戻して私に放り投げる。
私はそのまま受け取ったが、ピオニーの突然の言葉に私だけではなく、ノルドハイムと呼ばれたおじさんと髭のおじいさんは間の抜けた声を上げた。
「…陛下。何を言ってるのですか?」
ただ一人溜息を付くジェイド。その声にハッとしてコクコクと頷く。全くだ。何をいきなり言っているんだか。
「俺が見たいって言ってるんだ。よし、ジェイド相手しろ」
腰に手を当てて、もう決めたと言うピオニー。そのマルクトの皇帝の姿にジェイドを含めた家臣たちは諦めたように盛大な溜息を付き、私は一人ついていけないでいた。